右か左か迷った山道での最高のガイドはコインである。<はしもといわお・アウトドアの掟>

コラム

 
夜景と焚火とシュラフと
 

夜景

 
 シュラフ、スリーピングバッグ、寝袋、どれも同じです。
 焚火の楽しい宴の後にシュラフにもぐりこむのは、極楽ですね(ちょっと表現が古すぎますか)。でも、どこか寂しさもあります。メインが終わってしまったのですから。朝の小鳥たちの歌声に目を覚ますのを楽しみにしましょう。
 シュラフで寝るのはワイルドな気分でワクワクするのも確かです。子供たちなら興奮して眠れないところでしょうね。 それが、テントを張らずに野宿ならなおさらのことです。ちょっと怖い気がしますが、一年に一回くらいは野宿をするといいですね。 自然に抱かれた感じがなんともいえません。シュラフのありがたみも身にしみます。そんな時、寒くもないのに身を縮めてしまうのは、私が臆病だからでしょう。
 
 山の中腹の、尾根がちょっと飛び出た所に見晴らしのいい場所を見つけました。偶然周りの木を切ったばかりで、下界がよく見えました。
 数日後、そこで野宿を決行しました。
 思った通り、素敵な夜景が見えました。下は山間の小さな町でした。100万ドルとはいきません。しかし、お金には変えられない温かみのある景色でした。大都会の夜景とは違い、人々の営みが手に取れるような夜景です。
 主要道が町の真ん中を通って左にカーブして山の向こうに消えていました。そちらには高速道路の高い橋が わずかに見えていました。自分のいる場所、眼下の町の夜景、そして高速道路の飛ぶように光る車のライト。それぞれ世界が違うのに妙に一体感がありました。
 背中から、小さな焚火が我々を包んでくれていました。身も心も満たされた至福の時でした。何時間も夜景と焚火を肴に、ゆっくりと酒を飲み交わしました。言葉はあまりありませんでした。「浸る」というのはこんな感じなのでしょう。
 「少し寒くなってきたな」というのでシュラフに潜り込んでも、「浸る」時間はまだ続きました。