キャンプ料理は、いちばん手抜きをしたものがいちばんうまい。<はしもといわお・アウトドアの掟>

コラム

 
ランタンの光に「ホッ」
 

アオバズク

 そこはかなり下界に近い所でした。人家が近い事と夜行性の虫が集まるのを嫌って、小さな焚火でした。虫除けの意味を込めて、少しはなれた所にランタンをつけました。焚火の明かりよりはるかに強いので、虫はそちらにいくだろうというわけです。案の定、時々ランタンからプチッチッという音が聞こえてきます。虫がランタンの火に近付き過ぎた音です。
 初夏の静かな夜でした。暑くも無く寒くも無く、快適な季節です。私はボーとして、殆んど無意識の中で焚火をいじっていました。
 「アオバズクだ」
 同時に同行者3人全員が声をあげました。
 『ホォッホォ・・ホォッホォ』と、二声ずつの鳴き声は明らかにアオバズクでした。
 一人が焚火の番をしてくれるというので、私ともう一人はアオバズク探しに出かけることにしました。ヘッドランプを着け、一応カメラも持っていきました。細い道沿いにアオバズクの声のする方にゆっくりと歩いていきました。どうやら少し移動しているようです。私たちはなおも後を追いました。しかし、道沿いに追うのは限界があります。かといって夜に斜面の森に入るのは危険です。そろそろ草丈も伸びて、藪になり始めていましたし。
 しばらくアオバズクの声のするほうに耳を傾けていましたが、そのうちに声は遠のいていきました。私たちは諦めて戻ることにしました。
 来る時は夢中でアオバズクの声を追っていたので気づきませんでしたが、真っ暗な森の中の夜道は結構気味の悪いものです。それに、テント場からはかなり離れてしまっていました。
 「一人だとちょっといやな感じですね」
 同行者も同じ気持ちだったようです。なぜか急ぎ足になる二人でした。
 カーブを曲がって、始めに目に入ったのはランタンの光でした。ホッとしたのは同行者も同じだったでしょう。なぜかランタンの光が、我々の小心を見透かして笑っているようでした。