探鳥地にたどり着いたバードウォッチャーが最初に聞く言葉は『さっきまでいた』である。<はしもといわお・アウトドアの掟>

コラム

 
鎌の効能
 

オオタカ

 それはキャンプでの事ではありません。鳥の調査のために山に入った時のことです。<@峰>は主にオオタカの調査をしていますので、その巣探しなどでよく藪山に入らなくてはなりません。その初期の頃の話です。
 3人で山に入った時のことです。私は鉈と枝打ち用の鋸を腰に構えて山に入りました。入り口は谷の出口でみんな一緒でしたが、中に入ってから扇形に広がっていきました。
 雑木と杉の林が入り乱れているひどい藪山でした。私は早速鉈を取り出し、行く手を阻む枝や潅木をなぎ倒し始めました。しかし、鉈には少し細いものが多く、弾力があってうまく切れません。 左手で枝を押さえながら元のほうを伐っていきます。斜面で両手を使わなくてはいけないのは不便です。急な登りと重労働ですぐに息が上がってしまいました。
 『こちら○○、こちら○○。<@峰>さんどうぞ』と、トランシーバーでリーダーからの呼び出しです。
 『はい、こちら<@峰>どうぞ』
 『どうですか?何か見つかりましたか?』
 そうだ、オオタカの巣探しに入ったんだ。前に進むことでいっぱいいっぱいでそのことをすっかり忘れていました。慌てて上を見てきょろきょろしました。
 『何もありません』
 『こちらも、古い糞が一ヶ所あっただけで、ほとんど気配なしです。で、どのくらい登りましたか?』
 『まだ尾根までの半分も来ていないと思います』
 『え、まだそんな所ですか。こちらはもうじき尾根です』
 何故こんなにも差がついてしまったのかは皆と合流してからわかりました。リーダーはよく切れる鎌を一本持っているだけでした。それで充分だったのです。後に来る人のための道を作るわけではありません。自分が通れればいいのですから、鉈や鋸は大仰過ぎますし、それくらいなら鎌の方が使い勝手がよかったのです。指ほどの枝までなら鎌で充分ですし、それ以上のものは避けて、くぐって進めばいいだけです。