コラム
双眼鏡の中で王者舞う
鳥の調査の中で、『定点調査』というのがあります。目的の鳥、或は鳥全般などを一つの場所で何時出たか、どのくらいいたかなどを克明に記録していくのです。しかし、これが<@峰>にはむいていないようです。どうしても飽きてしまいます。でも、自分だけではなく何人かで散らばってやる時などは手が抜けません。しょうがなく、真面目にやります。
<@峰>は『鎌』の所でお話しましたが、オオタカの調査をしています。だから、オオタカの『定点調査』をよくします。調査に必要なものは、調査用紙・地図(国土地理院の2万5千図など)筆記用具・トランシーバー、それにフィールドスコープと双眼鏡です。
『こちらイーグルワン、こちらイーグルワン、<@峰>どうぞ・・・・』
『はい、こちら<@峰>、イーグルワンどうぞ・・・・』
『西の230mピーク辺りを、オオタカがそちらに向かっています。見えますか?』
『高度はどのくらいですか。稜線の上でしょうか下でしょうか。どうぞ・・・・』
『稜線の上に出ていますが、それ程高くはありません。どうぞ・・・・』
『はい、今確認しました』
私は素早く時計を見、その時間を記憶しました。調査票に今書くことはできません。双眼鏡から目が離せないのです。それからが大変でした。少しこちらに来た所で旋回を始めたのです。ゆっくりと旋回をしているように見えるのですが、どんどん高度を上げていきます。いい上昇気流をつかまえたのでしょう。10分程した時、急降下を始めました。半分ほど降下したところで今度は急上昇。そのまま深い波型で上昇と降下を繰り返しました。
『これはディスプレイですね。女の子にいいとこを見せようとしていますね』
『こちらからもよく見えます』
そしてまた旋回上昇を始めました。そんな繰り返しを何度かし、オオタカは40分近くも双眼鏡内で舞ってくれました。しかし、もう双眼鏡を持つ手が限界です。その時、やっとオオタカは小さな尾根の向こうの谷に降りて消えました。
『あの辺りに巣があるかもしれませんね』
『今度探しに行きましょう』
