エコロジストとはアザラシの写真にはほおずりするが、ゴキブリには悲鳴を上げる人をいう。<はしもといわお・アウトドアの掟>

コラム

 
少女のご要望-カワセミが見た~い
 

カワセミ

 少女は小学校5年生。<@峰>の親戚の子です。今、学校の「総合的な学習の時間」で学校周辺の生き物を調べているとの事でした。そこで少女は鳥を調べることにしたそうです。鳥ということで<@峰>にお鉢が回ってきたのです。嫌いな道ではありませんので快く引き受け、ある休みの日に少女とその仲間の少女たち3人と、学校の周辺を鳥を見て歩きました。
 私には土地勘がないので、少女たちに案内されるがままに近くの川に出ました。どうやら目的があるようです。いろんな鳥を見たいというのは口実のようでした。
 「この川でカワセミ見られますか?カワセミが見た~い」
 そうです。少女たちの目的はカワセミだったのです。他の鳥は付け足しのようです。私はなんだか微笑んでしまいました。
 小さな川でしたが、それ程荒れていませんでした。瀬もあり淵もあり、小魚もいそうでした。これならカワセミはいるだろうな、と思われました。
 私たちは川に沿って土手をゆっくりと下っていきました。私は白い糞が沢山ついている岩を見つけました。カワセミの糞かどうかまではわかりませんが、その可能性は大です。私はここでカワセミを待つことにしました。
 「ここなら見られるかも知れないから、探し回るよりここで待とうか。他の鳥でも見ながら。」
 私はフィールドスコープをその岩のほうに向けて据え付けると、土手に腰掛けました。少女たちも私の周りにこし掛け、目を輝かせて待ち構えました。
 「おじさんは、何回くらいカワセミを見ましたか?」
 「何回か数えていないけど、結構見ますよ。先週も見ました。」
 「エ~ッ、そんなに簡単に見られるんですか?」
 どうやら少女たちにとってはカワセミは幻の鳥のようです。しかし、餌になる魚と巣が作れるような崖があるところには結構いることを教えてやると、
 「うそ~ッ!」と、今時の驚き方ではしゃぎました。
 「いても、なかなか見られないんですよ。知らない人にはね。何時までもあると思うな親と金。簡単に見られると思うなアイドルとカワセミ。ッてね」
 セグロセキレイやムクドリ。モズやヒヨドリやカワラヒワなど、定番の鳥を見ながらじっくりと待っていました。土手に腰掛けてから1時間くらい経ったでしょうか。ついにその時が来たのです。
 『チーッ』と、カワセミの声がしました。
 「来ましたよ。あの岩の奥の木の枝に止まりました。」
 それからはもう大騒ぎです。騒ぐと逃げてしまうからと必死に少女たちをなだめ、私はスコープをその枝に向けました。しかしすぐにカワセミは飛び出し、今度は例の糞のついている岩にとまりました。そちらの方がバックがスッキリしていて見やすく、肉眼でもわかりました。
 「ほんと、カワセミだ」
 少女たちの興奮は高まるばかりです。私は素早くフィールドスコープにカワセミを入れて少女たちに見せました。
 「凄い、綺麗」「可愛い」「私、今ドキドキしてる」
 少女たちの感動は絶頂に達していました。なぜかそれを見ているとこちらも感動してきました。
 そうです。この感動から私の鳥も始まったのです。少女たちが、あらためて初心を思い出させてくれました。